令和6年3月定例会一般質問詳細
皆さんこんにちは!桜沢ひろとです。
タイトルのとおり、3月の一般質問での発言と市の答弁の要約を掲載します。
市の答弁の全文、再質問、再答弁については掲載しませんのでご了承ください。
インターネット中継であれば、市の答弁や再質問・再答弁までご確認いただけます。
インターネット中継と以下に掲載する質問や市答弁要約は、正式な記録ではないことにご注意ください。
なお、正式な記録は「羽村会議録検索」で公開されますが、公開まで2カ月程度かかります。
今回は、能登半島地震を受け、急遽防災関係について質問を行いました。
さらに、新人議員3人で連携して質問するという試みも実施しました。
防災について幅広く質問できたのは良かったのですが、連携を最大限に活かすには、再質問の細部まで調整する必要があると感じました。
少ない持ち時間(60分)、行政との事前の答弁調整なし、という状況で、連携をどこまで活用できるかは、検討の余地があります。
次回の定例会では、子ども・教育関係で質問したいと考えています。
(以下、黒字が私の発言で青マーカーが市の答弁の要約です。赤字はポイント解説です。)
事前の通告に従いまして、1項目、「災害への備えや対応について」、質問いたします。
令和6年能登半島地震では、災害時の備蓄品の不足や、孤立状態に陥った地域への支援の遅れが、改めて可視化されました。
羽村市は羽村市地域防災計画、以下「計画」とします、等で、家庭・地域・行政の災害への備えや対応等について定めていますが、令和6年能登半島地震や、令和4年5月に公表された東京都の「首都直下地震等による東京の被害想定」、以下「都被害想定」とします、を踏まえ、改めて計画等を見直していく必要があります。
そこで、市における災害への備えや対応全般について伺います。
(1)被害想定について
計画では、平成24年に東京都が公表した被害想定等を参考に策定されていますが、最新の都被害想定では、死者数等の人的被害や建物の被害棟数等の物的被害について、計画に記載されている被害想定を上回っています。
①最新の都被害想定が公表されたことを踏まえ、計画の修正が必要であると考えますが、修正を検討しているでしょうか。
→市では、「東京都地域防災計画」の修正内容の確認を行うとともに、関係機関へ、現行の「羽村市地域防災計画」の内容に変更すべき点がないか確認を行った。 今後、修正案を作成し、羽村市防災会議での審議や東京都との協議、意見公募手続を経て、令和6年度中に計画を修正する予定。
②市は現状の計画と都被害想定を比較した上で、防災に関する課題をどのように捉えているでしょうか。
→水道の断水率、下水道の被害率は改善したものの、依然として水道の断水率は他市に比較して高い状況にある。 大地震発生時の建物被害、人的被害、交通・ライフライン、市民生活への影響などへのさらなる対策が課題。
*火災の被害が増加。感震ブレーカー(地震を感知するとブレーカーを自動で落とす)の設置補助について再質問。
(地震時に発生する出火の多くは電気関係と言われている。)
(2)避難所の整備について
①災害等対応連携協定の締結により、避難所として利用できる民間の施設について、市は構造体・非構造部材の点検状況や避難所として利用可能な面積・人数・期間等を把握しているでしょうか。
→避難所として利用可能なスペースの面積を確認しており、市では、この面積に基づき利用可能な人数を捉えている。
利用期間については7日以内と定めており、状況により期間を延長する必要がある場合は、協議の上決定する。
施設の構造体や非構造部材の点検状況については把握していない。
*再質問で点検するよう要望。
②避難所は自宅に住めなくなった人のための一時的な生活拠点でありますが、在宅避難が可能な市民を増やすことも重要です。そこで、
ア 令和2年9月1日号の広報はむらで、在宅避難を「方法の一つ」としていますが、改めて在宅避難への考え方を伺います。
イ 他の自治体の取組みを参考に、在宅避難に特化した市民向けの周知をしてはどうでしょうか。
→大規模地震が発生した場合においても、自宅に倒壊の危険性がなく引き続き生活できる場合は、在宅での生活を継続する「在宅避難」を推奨。
「在宅避難」は、プライバシーが守られることや、幼い子供がいる等の個別のニーズに対応しやすいことなどのメリットがあるほか、自分に合った寒さ対策、暑さ対策ができることや、感染症の感染リスクを軽減できることなど、健康維持の面からもメリットは大きいと考える。
*在宅避難への表現を「方法の一つ」ではなく、「推奨」と明言したことを評価。
③計画では、被災者の性別も踏まえたプライバシー確保のための施設機能の強化や備蓄品の精査を行うとしています。
ア 想定するプライバシーの確保では、どのような対象者等を優先することとしているでしょうか。
イ 具体的な取組みの状況はどうでしょうか。
→避難所の運営に当たっては、特に女性や子育て家庭、介助が必要な方のプライバシーの確保に配慮することとしている。
女性が授乳や着替えを行うスペースとして簡易テントを使用することを想定し、また、介助が必要な方のプライバシーに配慮するため、パーテーションや段ボール製の間仕切りを使用することを想定し、避難所への備蓄をしている。
*パーテーションは、プライバシーの確保以外に、感染症対策などにも使われる。
避難所一か所で使えるパーテーションは30台程度。
民間企業からの段ボール製パーテーションなどの供給について再質問。
(3)災害用備蓄品について
①計画では、物資の途絶が3日以上に及び食料が足りなくなる事態などへの対策を検討する必要があるとしています。
都被害想定では、避難所への避難者数のピークを4日から1週間後としていることからも、現状の備蓄量では不足すると考えますが、市の検討状況はいかがでしょうか。
→市では、発災後3日分以上の食料を確保している。
市民の皆様にも各自で3日分、可能であれば7日分の食料の備蓄を呼び掛けている。
市では、クラッカー類やアルファ米、乾燥粥など約15万6千食を備蓄しているが、避難が長引くと、市の備蓄だけでは不足する。
このため、食料の備蓄に不足が見込まれる場合は、東京都や災害時の連携協定を締結している自治体や民間企業等に対し、食料の提供を要請する。
②計画では、市民の在宅避難に向けて、各家庭で最低3日分の備蓄品を備えること、推奨として1週間分の備蓄品を備えることとしています。
しかし、令和4年の内閣府の防災に関する世論調査によれば、食料等の備えをしている人の割合が約4割であることや、令和6年能登半島地震では様々な要因により生活再建が遅れた現状を踏まえ、各家庭での備蓄を強化する必要があります。
ア 各家庭における備蓄について、状況を把握しているでしょうか。
→把握していない。
*国分寺市では、毎年の市民アンケートのなかで、家庭の備蓄状況を確認している。
イ 各家庭での十分な備えの促進や自助の意識向上のため、家庭用の防災用品購入に係る補助金制度を導入してはどうでしょうか。
→現時点で、家庭用の防災用品購入の補助制度の導入は考えていないが、今後他の自治体での取組等を情報収集するなど、調査・研究する。
*全国的に事例は多くないと思われるが、国分寺市や武蔵野市など、都内で取り組んでいるところもある。
(4)公衆衛生について
①計画では、避難所の既設トイレを除き、避難者75人あたり1基以上の災害用トイレの確保に努めることとしています。
しかし、都被害想定における市避難所への避難者数は約14,000人であるところ、災害用トイレの備蓄はマンホールトイレ等の158基であり、計画の目標数値を達成できていないと思われます。そこで、
ア 災害用トイレの確保状況をどのように捉えているでしょうか。また、目標達成に向け今後どのように対応していくのでしょうか。
イ 内閣府の「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」によれば、災害発生当初は、避難者約50人あたり1基とすることが一つの目安として示されていますが、将来的にこの水準を目標としてはどうでしょうか。また、この水準を目指す際の課題は何でしょうか。
→(令和5年度現在)マンホールトイレ90基のほか、仮設トイレ68基、簡易トイレ6基を備蓄しており、合わせて164基の災害用トイレを確保している。
現行の「羽村市地域防災計画」では、避難者 75人に1基の災害用トイレの確保に努めることとしており、羽村市における避難者数を1万4千人と仮定すると、187基の災害用トイレが必要となる。
このことから、市では、現在、ポリ袋と凝固剤がセットになった携帯トイレを4万3千600セット備蓄している。 災害用トイレの備蓄や整備については、備蓄スペースの確保等が課題となる。
②計画では、発災後3日目までは、し尿収集車によるし尿収集が困難であると想定しているため、し尿の貯留が可能なマンホールトイレの整備や携帯トイレ等の備蓄を進めています。
ア 避難所のマンホールトイレのし尿の貯留可能量はどの程度でしょうか。
→避難所に設置したマンホールトイレ5基の貯留可能量の合計は、1,520リットル。
*避難所への避難者を14,000人、排泄物の量を一人一日1.7リットル、排泄回数を6回と仮定し、市の整備・備蓄するマンホールトイレ、仮設トイレ、携帯トイレをフル活用すると、全避難者の2.5日分のし尿を処理することができると思われる(桜沢の計算)。
つまり、3日で下水道が復旧しなかった場合、トイレの衛生環境が一気に悪化する可能性がある。
イ 環境省の災害廃棄物対策指針等を参考に、災害時に処理が必要となる、し尿の量の推計を、あらかじめ行っているでしょうか。
→し尿収集必要量の推計は行っていないため、環境省が示す「し尿収集必要量の推計方法」を参考に東京都の新たな被害想定に則して推計を行う。
*推計を行うと明言したことを評価。
まず推計を行わないと、災害用トイレをどのくらい整備・備蓄すればいいか、明らかにならない。
(5)上水道の断水について
市の上水道断水率は都被害想定で67.1%であり、近隣自治体に比べ突出して高い数値であることや、令和6年能登半島地震により長期間断水している地域があることを踏まえ、水道管路の耐震化を確実に進める必要があります。
①水道管路耐震化更新計画に基づき、基幹管路である送水管の二重化を令和9年度までに整備するとしています。
ア 現在の進捗はどうでしょうか。
イ 令和6年能登半島地震を受けて、計画の前倒しや変更等について検討しているでしょうか。
→今年度は、送水管の設計が完了しており、令和6年度に天竺運動公園前の既設送水管からの分岐工事を行う計画である。
送水管の二重化を前倒しするには、配水管の耐震化やその他の建設改良事業を先送りする必要が生じるため、現計画を着実に進めていくことが最良であると考える。
*水道事業で脆弱なインフラへの投資ができるよう、令和7年度から水道料金を値上げ。
② 重要給水施設管路の耐震化の状況及び耐震化の完了時期の見込みはいつ頃でしょうか。
→配水管のうち、配水場から災害時の重要な活動拠点となる避難所などにつながる「重要給水施設管路」については、延長21,700メートルのうち、令和4年度末で約7,207メートル、33.2パーセントが耐震適合性のある管路となっている。
市では、現在、配水管の耐震化については、一般管路、重要給水施設管路ともに老朽化が著しい硬質塩化ビニール管について、耐震性能のあるダクタイル鋳鉄管(ちゅうてつかん)への更新を優先的に進めている。
このため、硬質塩化ビニール管の更新が完了次第、残りの重要給水施設管路の耐震化を進める。
(6) 衛星通信機器の配備について
令和5年第3回定例会の一般質問で、災害への備えとして衛星通信サービスの導入を提案したところ、情報収集し研究するとの答弁がありました。
令和6年能登半島地震で衛星通信サービスの有用性が可視化されたことや、これまでの研究を踏まえ、衛星通信サービスの導入について、改めて市の見解を伺います。
→能登半島地震では、停電や設備の故障により携帯電話の通信障害が発生し、広範囲にわたって通信が途絶えた。
その際、通信事業者から衛星通信機器が避難所などに無償提供され、衛星通信が活用された。
市としては、災害に備えて多様な通信手段を確保していくことは重要であると考える。
東京都は、都内の全市区町村にモバイル衛星通信機器を配備するための予算を令和6年度当初予算に計上している。
引き続き、衛星通信サービスに係る情報収集を行い、多様な通信手段の確保に努める。
*東京都が区市町村にモバイル衛星通信機器を配備することを計画しているため、その機器の活用について今後注視。