令和5年12月定例会一般質問詳細
タイトルのとおり、12月の一般質問(12月5日)での発言と市の答弁の要約を掲載します。
市の答弁の全文、再質問、再答弁については掲載しませんのでご了承ください。
インターネット中継であれば、市の答弁や再質問・再答弁までご確認いただけます。
インターネット中継と以下に掲載する質問や市答弁要約は、正式な記録ではないことにご注意ください。
なお、正式な記録は「羽村会議録検索」で公開されますが、公開まで2カ月程度かかります。
今回は、産業振興と男性のHPVワクチン接種について質問を行いました。
産業振興については、今羽村市が何をやっているのか、今後どのようなビジョンを思い描いて産業振興を進めていくべきか、といったことを念頭に質問しました。
男性のHPVワクチン接種については、皆様にも知ってもらいたいと思い今回取り上げさせていただきました。
再質問は掲載していませんが、再質問を通じて示した課題や提案に対する前向きな姿勢を見せてもらったと考えています。
今後も「100年先もかがやく羽村」を実現するために議会で活動していきます。
(以下、黒字が私の発言で青マーカーが市の答弁の要約です。)
事前の通告に従いまして、2項目質問させていただきます。
第1項目めは、「産業振興について」です。
羽村市は首都圏整備法により市街地開発区域に指定され、西東京工業団地を造成するなどして、製造業を中心に発展してきました。
その結果として、例えば2020年の工業統計調査によれば、羽村市は都内で2番目に製造品出荷額が多い自治体となりました。
また、総務省統計局のHPの統計ダッシュボードには「地域の産業・雇用創造チャート」というグラフがあり、自治体における各産業の稼ぐ力や雇用力の相対的評価を見ることができます。それによりますと、羽村市は「輸送用機械器具製造業」、「はん用機械器具製造業」、「その他の製造業」といった、製造業の稼ぐ力や雇用力が相対的に高いという特徴が見えてくることからも、製造業を中心とした工業力の高いまちと言えます。
もちろん、工業だけでなく、商業、農業、観光業など様々な産業を盛り上げる方々が、市としては比較的小さな約10平方キロメートルという市域のなかに集まっており、羽村市のにぎわいを作り出しています。
そのような羽村市ですが、「第二次羽村市産業振興計画」からは、近年市内の事業所数及び従業者数が減少していることがわかります。
そして、最新の国の統計調査である「令和3年経済センサス-活動調査」でも、事業所数及び従業者数の減少に歯止めをかけられていないことがわかります。
産業は市民生活の基盤を支え、まちに活力とにぎわいを創出する重要な役割を担うものです。
羽村市は今と将来に活気をもたらす様々な産業を支援し、持続可能なまちを作り上げていかなければなりません。
現在羽村市は、ものづくり企業の集積、優れた物流アクセス、職住近接、豊富な工業用水等のPR、企業誘致促進制度、創業支援等、様々な産業振興に係る施策に取り組んでいますが、改めて産業振興の方向性や成果等について伺います。
(1)市の産業の現状について
①市内の事業所の減少が続いている要因について、市はどのように認識しているでしょうか。
→事業所が減少する一般的な要因としては、人口減少に伴う国内需要の減少や、人材不足、事業継承ができないことによる廃業などが挙げられ、これは市内事業者にも当てはまるものと捉えている。
②工業系用途地域における未利用地について、毎年4月に調査を行っているとのことですが、令和5年度の調査の状況はいかがでしょうか。
→未利用地は48箇所、合計11万1千876平方メートル。 令和4年度の4月時点と比較すると箇所数に増減はないが、面積では8千184平方メートル減少しており、一部において土地の利活用が進んでいるものと捉えている。
(2)市の取組みについて
①事業者が市内での立地を検討する際は、市の企業誘致促進制度の財政措置以外にも様々な地域の特性を考慮します。
そこで、市の企業誘致促進制度を利用した事業者に対し、本制度が市内での立地の決定にどの程度寄与したかについて調査・分析しているでしょうか。
→業誘致促進制度を利用して市内に移転等を行った事業者には、市内への立地を決定した理由についてヒアリング等を行っている。
その結果からは、立地の決定には本社等の施設への近接性や立地場所の周辺環境の状況など、様々な理由があげられている。 また、その中には、市内企業が第2工場の創設を検討する過程で、企業活動支援員が継続的に支援し、企業誘致促進制度の活用により市内に立地を決定した例もあることから、本制度が経済的インセンティブとして一定の効果を上げているものと捉えている。
②第二次羽村市産業振興計画に沿った施策の展開について
ア 産業の底力強化の施策として産学連携の推進を掲げ、市と協定等を締結している大学等を中心に産学連携に取組み産業の活性化につなげるとしていますが、具体的な取組みの実績と連携による産業の活性化への成果は何でしょうか。
→これまで商店会振興やイベントにおけるにぎわいの創出、事業所における雇用の確保など、包括連携協定を締結している杏林大学等と連携し、様々な産業の活性化の取組を行ってきた。
第二次産業振興計画は、令和4年度から5年間の計画であり、現時点において計画期間における産学連携による産業活性化の成果を測ることは難しく、企業と大学等のネットワーク構築の充実を図る中で、引き続き地域産業のより一層の活性化に向けて取り組んでいく。
イ 産業の底力強化の施策として地域課題の解決・共創を掲げ、産学官金連携により地域課題の解決に取り組む体制を整備するとしていますが、これまでの知見から市が想定する地域課題として何が挙げられるでしょうか。
また、体制の整備状況はいかがでしょうか。
→羽村市商工会や市内金融機関、包括連携協定を締結している杏林大学等と、日頃から緊密に連携している。
羽村地域産業振興懇談会が定期的に開催され、市も参加している。
懇談会では、市内企業の課題等について情報共有を図っており、本年2月に開催された懇談会では、物価高騰、人材不足・人材確保、事業承継、実質無利子・無担保のいわゆる「ゼロゼロ融資」の返済などの課題が挙げられた。
ウ 工業の振興では、事業者における人材育成や確保の難しさと支援の必要性について述べ、市は具体的な施策として様々な団体と連携したセミナー・研修等の開催や助成制度による財政的支援をしているところですが、高等学校、高等専門学校、大学等の教育機関と連携した人材育成や確保について取り組んでいることはあるでしょうか。
→事業者における人材育成、人材確保のための支援として、青梅線沿線地域産業クラスター協議会での社員研修、東京しごとセンター多摩との連携による就職面接会等を行っている。
また、今年度、羽村市商工会では、都立羽村高校の生徒を対象とした、市内企業へのインターンシップについて検討していると聞いている。
市としては、こうした支援施策を関係機関と連携し継続するとともに、新たな産学連携による人材育成、人材確保の取組についても検討する。
エ 工業の振興では、製造業を始めとする工業は市内経済を支える基幹産業であることや、多様な業種・分野が集積するメリットを最大限に発揮して相乗的に発展できるよう支援すると述べていますが、市内の製造業や多様な業種・分野が相乗的に発展していくためには、各業種・分野間において具体的にどのような連携が図られることを想定しているでしょうか。
→企業経営を取り巻く環境の変化が激しい昨今、データやデジタル技術を活用した製品やサービスの変革、環境に配慮し、持続可能な社会を実現するための経営などが求められている。
こうした実現に向けて、新しい技術やサービスを持つ企業との連携や、これまでの業種や分野に捉われない連携が必要となる。
市としては、企業活動支援員による伴走型の支援や、羽村市商工会や支援団体との連携により、企業間マッチングや支援の充実を図り、新たな事業や付加価値の創出等により、産業全体の活力向上に取り組む。
(3) 市内へ進出した事業者について
神明台の工業地域において、複数の物流施設の建設計画が進んでいます。物流施設は貨物の保管だけでなく流通までの様々な加工の工程を担うものもあるため、物流施設の機能によっては雇用者数や固定資産税等に大きな影響を与える可能性があります。
市は物流施設の詳細について事業者と情報交換を行っているでしょうか。
→大規模な物流施設は、地域の雇用や税収、周辺環境への影響など、多方面に影響を及ぼすため、市では継続的に相手企業と情報交換を行っている。
質問の第2項目めは「男性のHPVワクチンの接種について」です。
ヒトパピローマウイルス、以下「HPV」と呼びますが、HPVワクチンの接種について、国が令和4年度から積極的な勧奨を再開したことに伴い、羽村市においても女性の対象者に向けて接種の案内を実施しています。
HPVは男性にも感染し、男性の癌・性感染症や性交渉による男性から女性への感染等を引き起こすため、海外では女性だけでなく男性のワクチン接種も推奨している国が多くあります。
しかし、日本では男性のHPVワクチンの接種は任意となっており、接種する場合には数万円程度の自己負担が発生します。
HPVワクチンは未成年のうちに接種することが望ましいとされていますが、未成年の男の子を育てる家庭にとってはワクチンの接種費用が負担となり、接種を断念する可能性もあります。
そのようななか、中野区は区独自の事業として男性のHPVワクチンの接種を無償化しました。
また、東京都知事は令和5年第3回定例会における答弁で、HPVワクチンの男性の接種に係る区市町村への支援について言及しました。
女性へのHPVワクチンの積極的な勧奨が再開したことに伴い、男性のHPVワクチンの接種にも注目が集まっている今、市のHPVワクチンの男性の接種に関する考えや方針等を伺います。
(1) 男性のHPVワクチンの接種に関する国、都、他市等の動きについて、市は情報収集をしているでしょうか。
→国の厚生科学審議会に設置された小委員会では、令和4年8月から予防接種法上の定期接種として位置付けることの是非について検討が開始されている。
東京都では保健医療局において、男性に対するHPVワクチン接種費用の市区町村への補助事業に係る経費を令和6年度当初予算に要求したとのこと。
こうした動向を踏まえ、多摩地域の26市では保健衛生を所管する部署の 担当者会議において、男性に対するHPVワクチンの費用助成について情報交換を行っている。
(2) 国は令和2年に一部のHPVワクチンの男性への使用を了承しましたが、その後市は男性のHPVワクチンの接種に関する情報を市民に提供してきたでしょうか。
(3) 性別に限らず、HPVワクチンの副反応について、市はどのように考えているでしょうか。
→((2)(3)併せての答弁)男性に対するHPVワクチンの接種は、予防接種法上の任意接種であり、市民に対し積極的に勧奨を行う定期接種とは異なることから、市ではこれまで男性のHPVワクチンの接種に関する市民への情報提供は行っていない。
(女性については)令和4年度から積極的な接種の勧奨を再開しており、接種を希望する方がワクチンの効果やリスクを正しく理解した上で、接種の判断ができるよう適切な情報提供を行っている。
(4) 市内の小学校・中学校では、性別に限らずHPVやワクチンに関する教育を行っているでしょうか。
→感染症やその予防については、学習指導要領に基づき中学校保健体育の保健分野で扱っている。教科書には細菌やウイルスによる感染症の種類や特徴、予防の在り方等に関する記載がある。
HPVについても症状や治療法等についての記述があり、ほかの性感染症とともに性別にかかわらず学習指導を行っている。
なお、免疫の仕組みやワクチンの定義のほか、予防接種についても関連する保健機関や医療機関の役割と共に指導している。
(5) 他の自治体では男性のHPVワクチンの接種費用を助成しているところもありますが、市は助成について検討しているでしょうか。
→諸外国では男女の定期接種化が進んでおり、子宮頸がんの予防だけではなく、男性にとっても一部のがんの予防や性感染症の予防及び女性への感染リスクの抑制などの効果があると言われている。
現時点では、男性に対するHPVワクチンの接種費用を助成する考えはないが、国の定期接種化に向けた動向及び東京都の補助事業の予算化の動向を注視する。