令和7年12月定例会一般質問詳細

タイトルのとおり、3月定例会の一般質問(令和7年12月3日)を記載します。
市の答弁、再質問、再答弁については、一部のみの記載です。

インターネット中継であれば、市の答弁や再質問・再答弁までご確認いただけます。
インターネット中継と以下に掲載する質問や市答弁要約は、正式な記録ではないことにご注意ください。

なお、正式な記録は「羽村会議録検索」で公開されますが、公開まで2カ月程度かかります。

※12月から議場のカメラが更新され、インターネット中継の映像もキレイになりました!

今回は、「データと情報技術の活用による市民参加のまちづくり」、「学校給食の安定的な提供」の2項目について質問しました。

以下、
黒字→私の発言
青マーカー→市の答弁の要約
赤字→ポイント解説や再質問・再答弁の要約など


【データと情報技術の活用による市民参加のまちづくり】

(質問の趣旨)
近年、行政の透明性を高め、市民の市政参加の機会を拡充するため、様々な行政データをオープンデータとして公開し、ダッシュボード化する取組が各地で進んでいます。
さらに、AIを用いた多様な意見を収集・分析・可視化するブロードリスニングや、市民の熟議を可能にするオンラインプラットフォーム、仮想空間を意味するメタバースの充実など、市民と行政を結ぶ新たな技術やサービスが登場したことで、市民が情報にアクセスし、市政に参加しやすい環境が整備されつつあります。

その具体例を簡単に紹介します。渋谷区は「SHIBUYA CITY DASHBOARD」により、福祉・まちづくり・防災・産業などの分野別に多くのデータを公開し、またダッシュボードを作成することで、多様な主体の課題解決や施策立案への参画を促しています。

非営利・中立のコミュニティである「デジタル民主主義2030」は、デジタル民主主義の社会実装を目指し、AIを活用したブロードリスニング用ツール「広聴AI」や、大規模熟議プラットフォーム「いどばた」を開発しました。

徳島県鳴門市は、メタバース上に「バーチャル鳴門市役所」を開設し、市政情報の提供、観光資源や地場産品の紹介、若者の市政参加を目的とした政策議論の場などに活用しています。

羽村市でも、市公式サイトや東京都公式サイトなどを通じたオープンデータの公開、「市長への手紙」、市政世論調査などにより、市民の意見聴取に取り組んでいます。
また、令和5年3月に策定した「羽村市DX推進基本方針」では、市の目指す姿として「データを共有・分析し、新たなサービスや課題解決・業務改善に挑戦する」ことや、「市民同士、市民と地域・行政が、人や情報でつながる」ことなどを掲げています。

しかし、社会が急速に変化する中でより良いまちづくりを進めるためには、行政の透明性の更なる向上や最新の情報技術の効果的な活用などにより、市民の関心と信頼を醸成しながら課題解決に共に取り組む「市民参加型市政」の強力な推進が必要と考え、次のとおり伺います。

(質問)
(1)市のオープンデータに関する取組について、現状認識と今後の方針はいかがでしょうか。

→市では、令和5年3月に策定した「羽村市DX推進基本方針」において、オープンデータによる地域課題の解決や新たなサービスの創出に取り組むこととしている。
現在、市公式サイト及び東京都が開設している「東京都オープンデータカタログサイト」上で、人口統計、公共施設や指定避難場所の一覧、AEDの設置場所など、市の保有するデータを、二次利用できるデータ形式で公開している。
今後も、データの利用ニーズの把握、継続的な更新体制やルールの整備など、より効果的、効率的にデータ利用を推進するための検討を行い、
オープンデータの拡充を図っていく。

*オープンデータとは?
さまざまなデータのうち、パソコンで扱いやすく、しかも「誰でも自由に使っていいですよ」というルールを付けて公開しているデータのことです。
オープンデータを広く公開することで、市民、民間企業、団体などが新しく活動や事業を始めやすくなったり、行政の可視化や効率化につながったりします。


*ポイント解説
渋谷区は、「SHIBUYA CITY DASHBOARD」内でオープンデータを81件公開。官民が協働し新たなサービスを展開しています。
羽村市は、市公式サイト上で15件(一般質問前は6件)。
「今後ニーズに基づいてオープンデータの拡充を進めていく」という市の方向性を確認できました。

(2)羽村市版行政ダッシュボードの整備は、「羽村市DX推進基本方針」に掲げる理想のまちづくりの実現に資すると考えますが、市の見解はいかがでしょうか。

→市が保有するデータを集約し、グラフや地図などを用いて分かりやすく可視化する「ダッシュボード」を整備し活用することは、「羽村市DX推進基本方針」と捉えている。
特に、多様なデータを基にした客観的な政策立案、いわゆるEBPMの推進につながる取組となり、政策の有効性を高める手法となることが考えられる。
さまざまな課題を踏まえ、市の実情に沿ったダッシュボードの整備について検討する。

*行政版ダッシュボードとは?
オープンデータをはじめ、市が保有するさまざまなデータを見やすいグラフや数字に整理して、「今どういう状況なのか」が一目で分かるようにした画面のことです。
東京都や渋谷区のダッシュボードを見ていただいた方がわかりやすいので、リンクを添付します。


東京都

(WEB版)Microsoft Power BI
(モバイル版)Microsoft Power BI
渋谷区
SHIBUYA CITY DASHBOARD | 区政情報 | 渋谷区ポータル

こうしたダッシュボードを用意することで、複雑な市の課題、例えば公共施設の再編などについても、市民の皆様の理解が進むと考え、まずは形にこだわりすぎず、スモールスタートするよう強く要望しました。

(3)ブロードリスニングは、アンケートの自由記述などの定性データをAIで分析・可視化するツールであり、政策形成段階で民意を可視化させる有効な手法として注目されています。従来の意見聴取に比べ、対象範囲の拡大や膨大な意見の分析・可視化が可能となります。また、AIを活用した大規模熟議プラットフォームは、テーマに対して市民が意見を投稿し、AIが論点整理や議論の進行を支援します。これにより、建設的な議論が進み、課題の可視化や市民からの解決策の提案が可能となります。
こうした新たなツールの活用により、的確な民意の把握と市政への反映や、市民の市政に対する関心と信頼の醸成などが期待されますが、市の見解はいかがでしょうか。

→ブロードリスニングは、より多くの意見を広く収集し、活用を図る手法として有効である一方、新たな技術であり、導入には一定の知識や技術が必要となるものと捉えている。
こうした点を踏まえ、市では、今後の東京都における活用や、他自治体の動向等を研究し、導入の可能性等について検討してまいく。


*ブロードリスニングとは?
(岩手県公式サイトより)
大量で多様な住民の声を収集・分析して、政策立案に反映させる手法のことです。
従来は、手作業で多くの住民の声を取りまとめる作業には多くの時間を要していましたが、近年注目を集めるAI技術を活用することで、より効率的に整理して理解することができるようになりました。

*ブロードリスニングは、東京都や渋谷区、香川県宇多津町など、様々な自治体で施行的に導入されています。
例えば、羽村市の公共施設再配置構想たたき台に関して、200件以上の意見が市に届いています。
これらはすべて自由記述となっていて、人の手で分析するには労力を要します。
これを、AIで分析・可視化することで、意見の方向性をつかみやすくすることが可能です。

(4)CIO補佐官について
自治体のDXや情報政策の推進に当たっては、専門的知見を持ち、現場の実務に即した技術導入の判断や助言を行うことのできる人材の確保が重要であるため、各地で外部人材によるCIO補佐官の任用が進んでいます。令和4年第4回定例会で大塚あかね議員がCIO補佐官の任用に関して質問したところ、令和4年時点では、専門的知見を有する事業者への委託を進め、CIO補佐官を任用することは考えていない旨の答弁がありました。その後、令和5年第4回総務委員会における「羽村市一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例」の審査の際、市は本条例が想定する職員の例として、CIO補佐官を挙げました。そこで、

①市では副市長がCIOに就き、DX推進の方針や情報政策の方向性を示す「DX推進部会」の部会長も務めています。情報技術が急速に進歩する中、CIOが適切な判断を下せるようにするため、市はどのような体制でCIOを支えているのでしょうか。

②情報技術の急速な進歩に対応するためには、高度な専門的知識や経験を有する人材をCIO補佐官として任用することが望ましいと考えますが、市の見解はいかがでしょうか。

→(①②まとめて答弁)
令和6年度からは、東京都の政策連携団体である一般財団法人ガブテック東京と連携し、スポット相談や伴走サポート等の人的サービスを活用している。
CIOがDXを推進する上での判断において、専門的・技術的助言を得ており、職員のデジタルスキル向上に向けた研修会等の人材育成に関する支援等も受けている。
CIO補佐官の役割については、引き続きガブテック東京と緊密に連携し、ガブテック東京に所属する専門的人材の効果的な活用について検討するとともに、市民サービスの向上や業務の効率化など行政のDXを一層推進するため、任期付職員の採用等も含め、様々な方策について検討を進めていく。


*CIO (Chief Information Officer)とは?
最高情報統括責任者の略で、羽村市におけるCIOは、DXや情報政策に関する方針の決定・推進に大きな影響力を持ちます。
デジタルの分野の進歩は急速に進んでおり、専門家の力なくしてキャッチアップすることはできません。
そこで今回の質問では、外部人材を活用して、CIOを補佐する「CIO補佐官」の任用を求めました。

(5)行政サービスの提供や市民の市政参加を目的としたメタバースの活用について、市の見解はいかがでしょうか。

→教育委員会では、インターネット上の仮想空間・メタバースの活用として、東京都が整備した、児童・生徒がアバターを使って仮想空間で学べる教育支援ツール「バーチャルラーニングプラットフォーム事業」を活用している。
今後、市が独自にメタバースを整備し、活用するためには、独自の空間の作成や運営に多額の経費が必要となるなど、多くの課題があるものと捉えている。
こうした点を踏まえ、「バーチャルラーニングプラットフォーム事業」の効果検証や他自治体の動向等を注視し、市独自の活用の可能性について研究する。


*メタバースとは?
インターネット上に構築された3次元の仮想空間のことです。
自身のアバターを作成し、さまざまな人とコミュニケーションをとることができます。
この特徴を活かし、複数の自治体がメタバースを活用した行政サービスの提供などを実施しています。


【学校給食の安定的な提供について】

(質問の趣旨)
羽村市及び瑞穂町で構成する羽村・瑞穂地区学校給食組合(以下「給食組合」といいます。)は、羽村市立学校の児童・生徒に対して学校給食を提供しています。給食組合は令和6年度に学校給食費を増額改定し、栄養バランスのとれた給食の安定的な提供に努めています。

しかし、昨今の急激な物価高騰などの影響により、改定の検討が行われた令和5年度当時と現在の食材費には大きな乖離が生じています。農林水産省によれば、令和7年9月における政府備蓄米などを含む米の販売価格は、令和5年10月と比較して約2倍に達しました。総務省によれば、令和7年9月分の消費者物価指数のうち食料の指数は、前年同月比6.7%上昇しました。また、給食組合によれば、令和7年10月における精白米の購入価格は、令和5年10月と比較して約2.3倍になりました。

私は給食組合議会の議員も兼ねていることから、令和7年11月の給食組合議会定例会で、学校給食費の改定に関する質問をしました。これに対し組合からは「このまま食材費の高騰が続けば、現行の学校給食費では、給食の量や質を維持することが困難な状況」であり、「構成市町である羽村市及び瑞穂町に、この厳しい状況を説明し、学校給食費の増額に向けて協議していきたい」との答弁がありました。

そこで、給食組合に公費を支出し運営に携わる市に対して、次のとおり伺います。

(質問)
(1)昨今の食材費高騰が学校給食に与えている影響について、市の現状認識はいかがでしょうか。

(2)給食組合としては学校給食費の増額について市と協議したいとのことですが、協議に対して市はどのような姿勢で臨むのでしょうか。

→(1・2まとめて答弁)
給食用食材についても、価格の上昇が顕著である。
羽村・瑞穂地区学校給食組合も、現行の学校給食費では栄養バランスのとれた学校給食を安定的に供給することが難しい状況にあると認識している。
このまま食材費の高騰が続けば、「学校給食摂取基準」を満たした給食の質や量の維持が困難になることが想定されるため、学校給食費の増額に係る検討が必要であると考えている。
こうしたことから、現在、羽村・瑞穂地区学校給食組合からの協議の要請を受け、既に瑞穂町と、今後の対応について情報交換等を始めている。


*学校給食費は令和6年4月に値上げされました(保護者負担はなし)。
しかし、その時点からさらに物価高騰が進み、現行の給食費では給食の質や量の維持が困難になることが想定されています。

学校給食は、ただ食事を提供すればいいというわけではなく、学校給食法に基づいて提供しています。
学校給食法の第2条には、学校給食の目標が示されており、この目標を達成するような給食を提供しなければいけません。

【学校給食法
第二条 学校給食を実施するに当たつては、義務教育諸学校における教育の目的を実現するために、次に掲げる目標が達成されるよう努めなければならない。
一 適切な栄養の摂取による健康の保持増進を図ること。
二 日常生活における食事について正しい理解を深め、健全な食生活を営むことができる判断力を培い、及び望ましい食習慣を養うこと。
三 学校生活を豊かにし、明るい社交性及び協同の精神を養うこと。
四 食生活が自然の恩恵の上に成り立つものであることについての理解を深め、生命及び自然を尊重する精神並びに環境の保全に寄与する態度を養うこと。
五 食生活が食にかかわる人々の様々な活動に支えられていることについての理解を深め、勤労を重んずる態度を養うこと。
六 我が国や各地域の優れた伝統的な食文化についての理解を深めること。
七 食料の生産、流通及び消費について、正しい理解に導くこと。

この条文を読めば、給食の目的が栄養基準を満たすだけのものではないことがわかります。
給食提供に携わる職員の皆様は、現行の給食費の中で創意工夫を重ねて給食をつくっています。
しかし、現行の給食費ではいずれ限界が来ます。
その前にしっかりと対応することについて、確認ができました。

(3)令和6年第2回羽村市議会臨時会で、市長から「当面の間」学校給食費の無償化を実施する旨の発言がありましたが、令和8年度以降についての方針はいかがでしょうか。

→市では東京都の補助制度を活用して、本年1月から羽村・瑞穂地区学校給食組合に対し、「学校給食費保護者負担軽減事業補助金」を交付し、学校給食費の無償化を実施している。
学校給食費の無償化は、本来、子供たちの住む自治体によって格差が生じることのないよう、国において制度化されるべきものと考えているが、国が全国一律での学校給食費の無償化を実施するまでは、東京都の補助制度等を活用しながら、無償化を継続していく。


*市は学校給食費の無償化を継続することを明言しました

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です