令和7年3月定例会一般質問詳細

タイトルのとおり、3月定例会の一般質問(令和7年2月26日)での発言と市の答弁の要約を掲載します。
市の答弁の全文、再質問、再答弁については掲載しませんのでご了承ください。
インターネット中継であれば、市の答弁や再質問・再答弁までご確認いただけます。
インターネット中継と以下に掲載する質問や市答弁要約は、正式な記録ではないことにご注意ください。
なお、正式な記録は「羽村会議録検索」で公開されますが、公開まで2カ月程度かかります。

今回は、子供のインフルエンザ感染予防、乳幼児突然死症候群の普及啓発、これからの羽村市立学校の在り方、の3項目について質問を行いました。
以下、黒字が私の発言で、青マーカーが市の答弁の要約です。赤字はポイント解説などです

【子供のインフルエンザ感染予防について】
(質問の趣旨)
インフルエンザは冬期を中心に流行し、毎年全国で数百万人から一千万人程度の感染者が発生します。学校では、感染拡大に伴う休校や学年・学級閉鎖で、子供たちの学習機会がたびたび損なわれています。
羽村市立学校におけるインフルエンザなどによる学級閉鎖の状況は、羽村市公式サイトに掲載されており、令和6年度に延べ24回、令和5年度に延べ62回、学校・学年・学級閉鎖が実施されています。
もちろん、この数字は新型コロナウイルス感染症などの流行も含めたものですが、市内でもインフルエンザの影響が色濃く表れていると感じます。

また、高齢者と異なり、子供のインフルエンザ予防接種は任意接種であり、特に13歳未満は、大人よりも接種費用が高くなりやすいにも関わらず、原則として全額自己負担となっています。
なぜ大人よりも接種費用が高くなるかというと、2回接種する必要がある、または、1回で済む代わりに、経鼻型、つまり鼻から接種するタイプで、費用の高いワクチンを接種する必要があるからです。
多子世帯や若年世帯におけるこの経済的負担は、決して軽視できないものと考えます。
なお、子供のインフルエンザ予防接種は自由診療のため、医療機関によって料金が異なりますが、複数の医療機関のホームページから料金を確認したところ、13歳未満の子供にかかる費用は、大人の1.5倍から2倍程度でした。

更に、子供がインフルエンザに感染した場合、重症化リスクが懸念されます。
2023年から2024年にまたがる昨シーズンにおいて、インフルエンザによる入院患者数を年齢別で比較すると、0歳から9歳までの子供が最も多いことがわかります。
さらに細かく見ると、特に0歳から4歳までが非常に多くなっています。
もちろん、子供の場合、入院してから重症化、又は死亡する可能性は、高齢者と比べて低いことがわかっています。
しかし、入院しなければならないほど重い症状が出たり、重症化リスクが高まるとも言えます。
加えて、インフルエンザを起因とする急性脳症(以下「インフルエンザ脳症」と言います)は全国で年間200件前後発生しており、患者の大半は12歳以下です。
インフルエンザ脳症と言うとなじみがないかもしれませんが、インフルエンザ脳症の症状の一つとして、熱性けいれんがあると言えば、想像しやすいかもしれません。
「小児急性脳症診療ガイドライン2023」によれば、インフルエンザ脳症の予後として、21%の方に後遺症が残り、6%の方が死亡するとされています。

このように、子供のインフルエンザへの感染は、学習機会の損失や重症化リスクなどが考えられますし、加えて、保護者にとっては看護負担や労働制限による所得の減少など、市にとっては医療費助成や国保会計における負担の増加などの影響も考えられます。

東京都は、子育て支援の観点から、13歳未満へのインフルエンザ予防接種に係る費用の助成を実施する区市町村に対して財政支援をしており、都内の多くの自治体が助成を開始しています。
こうした社会の動向を踏まえ、市における子供のインフルエンザ感染予防への対策について、次のとおり伺います。

(質問)
(1)高齢者と同様に、子供のインフルエンザ感染による重症化リスクは軽視できないと考えますが、市の見解はいかがでしょうか。

→インフルエンザは、発熱や咳などの症状を伴う呼吸器感染症であり、多くの場合は安静や適切な治療により回復する疾患。
しかし、子供は免疫機能が発達途上であるため、まれにインフルエンザ脳症などの深刻な合併症を引き起こすリスクがある。


*インフルエンザによる入院患者数は乳幼児が最多、インフルエンザ脳症の患者も大半が子供となっています。

(2)子供のインフルエンザ予防接種費用の助成に関する、東京都や都内自治体の動向はどうでしょうか。

→インフルエンザ予防接種費用の一部を支援する取組として、「小児インフルエンザワクチン任意接種補助事業」を開始しました。
この事業は、生後6か月から13歳未満の方を対象に市町村が接種費用を助成した場合、都が助成額の2分の1を負担するもので、1回当たり1千円を上限としている。
多摩26市では、13市が小児インフルエンザ予防接種費用の助成事業を実施している。


*都内では、都の補助事業に合わせて令和6年度から助成を開始した自治体が多いです。
瑞穂町は令和2年度から助成を開始しており、助成の理由として「重症化予防」や「保護者の負担軽減」を挙げています。


(3)市が子供のインフルエンザ予防接種費用を助成することで、新たな財政負担が発生しますが、市の医療費負担の抑制や子育て環境の改善等、様々な効果も期待できます。市は予防接種費用の助成に関する費用対効果をどのように評価しているでしょうか。

→現在は任意接種となり、個人レベルでの発症予防や重症化防止に一定の効果が認められている。
各個人がかかりつけ医と相談しながら判断することが推奨されている。
小児インフルエンザワクチンについては、一定の有効性・安全性は確認されているものの、費用対効果に関する明確な知見は現時点で示されていない。
このような状況を踏まえ、市としては 小児のインフルエンザワクチン接種への費用助成に関する費用対効果を推し量ることは困難であると考えている。


*助成費用に関して、以下の条件で試算します。
①6歳未満に助成
②予防接種を2回打つとして、1回につき市が1,000円、都が1,000円負担
③接種率80%
6歳未満の子供総数2,307人の80%→1,845人
→市の負担は助成額のみで1,845人×2,000円=369万円

しかし、助成により市の負担が軽減される面もあります。
①子供の医療費助成制度における、市の負担する医療費の減。
②国民健康保険会計における、保険者である市の負担の減。
③重症化リスクの高い高齢者や家族・集団への感染拡大防止。
④看護に伴う保護者の労働制限による所得減少の防止。
以上のように、助成額として市が支出する額だけでなく、抑制される負担も考慮すべきです。
お金だけでなく、保護者の肉体的・精神的負担の軽減や、保育・教育施設等で働く方の負担軽減にもつながります。

(4)市でもインフルエンザ予防接種費用の助成を始めてはいかがでしょうか。また、財政負担の点で懸念があれば、まずは重症化リスクの高い乳幼児や経済的負担の大きい多子世帯等を対象にして、助成の効果検証をしてはいかがでしょうか。

→13歳未満の子供は2回の接種が必要となり、保護者の方々に相応の費用負担が生じている。
一方、限られた財源を有効に活用し、多様な行政需要に対応していくためには、各事業の緊急性や必要性を十分に精査し、優先度を考慮した上で予算化を図る必要がある。
現時点では、小児へのインフルエンザ予防接種の費用助成や、重症化リスクの高い乳幼児等に限定した場合の費用助成の効果検証は困難な状況にある。
市としましては、今後の財政状況や他の子育て施策との優先度を総合的に判断しながら、国や近隣自治体の動向を注視する。


*市は「子育てしやすいまち」を掲げていますし、共働き世帯にも優しいまちであるという評価を外部から受けています。
今回提案したインフルエンザ予防接種費用の助成は、まさに子育て世帯、特に共働き世帯に対する、肉体的、精神的、経済的負担の軽減につながります。
近年は共働きが主流となっていて、それに伴って家庭の可処分所得が増えているのかと言えば、全然増えていません。
そのような状況では、子供の健康のためとはいえ、特に多子世帯では負担の大きさを感じます。
助成制度によって、倍近くかかる子供の予防接種費用を大人と同程度に引き下げることで、子供に予防接種を受けさせたいと考える保護者が、大きな負担を感じることなく積極的に予防接種できるようになると考えます。
インフルエンザ予防接種はだいたい10月から実施しますので、来年度の補正予算に計上できれば十分間に合います。
引き続き、市と対話を重ねます。

【乳幼児突然死症候群(SIDS)の普及啓発について】
(質問の趣旨)
乳幼児突然死症候群(以下「SIDS(シズ)」と言います)は、予兆や既往歴のないまま乳幼児が死に至る、原因不明の病気です。
平成9年に全国で538人、令和5年に48人と、減少傾向にあるものの、一定数の乳幼児がSIDSで亡くなっており、令和5年の乳児期の死亡原因としては第5位となっています。
なお、令和3年には81名が亡くなっており、年によってばらつきがあります。
SIDSの予防方法は確立されていませんが、仰向けに寝かせること、母乳で育てること、タバコを吸わないことの3つを守ることにより、SIDSの発症率が低くなるというデータがあり、国などもこれを周知しています。
SIDSは冬期に発症する傾向があるため、国は毎年11月をSIDS対策強化月間とし、全国の関係機関と連携して重点的に普及啓発運動を実施しています。
そこで、市におけるSIDSの普及啓発への取組について、次のとおり伺います。

(質問)
(1)保護者がSIDSに関する正しい知識を身につけることは、子供の命を守る上で極めて重要と考えますが、市の見解はいかがでしょうか。

→子供たちの大切な命を守るため、妊産婦や子育て中の家庭、さらには保育施設などの子育て支援に携わる関係機関等に対し、乳幼児突然死症候群に関する正しい知識の普及とリスク軽減策の周知を積極的に進める。

(2)保護者に対するSIDSの正しい知識やリスク軽減策の周知・助言・指導を、どのような場や手段を通じて行っているでしょうか。

→妊娠期から出産後まで、様々な機会を通じて保護者への周知をしている。
妊娠期には、妊娠届出時の面接や母親学級・両親学級において、保健師や助産師が、適切な寝具の選び方や喫煙の危険性等について説明している。
特に、喫煙されている妊婦や家族に対し、禁煙を推奨し、寝具については硬めのマットレスの使用や仰向けで寝かせることなどの保健指導を行っている。
出産後は、乳児家庭全戸訪問事業や乳幼児健康診査の機会を捉え、乳幼児突然死症候群のリスク軽減策に加え、乳幼児期に起こりやすい窒息や転落などの事故防止について、併せて情報提供している。


(3)SIDSの普及啓発やリスク軽減策を広めるため、市内の保育施設や医療機関等との間で、どのように情報共有や連携を図っているでしょうか。

→市内の幼稚園・保育園等に、国が策定した「教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン」等に関する情報提供を行い、 発症率の低減に関する取組を進めている。
今年度は、産後ケア事業における乳幼児突然死症候群及び窒息事故防止のため、日本小児突然死予防医学会が策定した「産後ケア施設における乳幼児安全対応マニュアル」を参考に、「羽村市産後ケア事業安全管理マニュアル」を新たに作成した。
このマニュアルを、産科医療機関や助産所等の委託事業者に配布し、乳児の安全確保と緊急時の対応について、認識の共有を図っている。


(4)市内でSIDSが発生した場合の保護者に対する心理的・社会的支援について、市による直接的な支援や他機関への仲介を含め、どのような支援が考えられるでしょうか。

→同様な経験をされた方々による自助グループである「SIDS家族の会」や、東京都が実施する「赤ちゃんを亡くされたご家族のための電話相談」の案内、さらには心理カウンセラーなどの専門家による相談窓口や医療機関の紹介など、関係機関と連携した継続的な支援を実施していく。

【これからの羽村市立学校の在り方について】
(質問の趣旨)
市教育委員会は、今後の市立小・中学校のあるべき姿を広く市民と共有し、市の学校再編について共に考えていく契機とするため、令和6年2月に「これからの羽村市立学校の在り方について」という文書を公表しました。この文書の中で、学校再編の必要性については、「将来的な児童・生徒数の減少を踏まえつつ、羽村市の未来を担う子供たちに持続可能で充実した教育環境を整備するためには、市立小・中学校の再編について検討していく必要がある」と記しています。

学校再編の必要性については、「児童・生徒数の減少」に着目した議論が耳目を集めますが、文部科学省が令和4年3月に公表した「新しい時代の学びを実現する学校施設の在り方について」のように、今後の学校施設の在り方などについて、多角的な視点から議論を深めていく必要があると考えます。

そこで、学校再編に関する市の見解などについて、次のとおり伺います。

(質問)
(1)市内の学校施設は、建築から40年以上が経過していますが、現在の学校施設が抱える課題や、これからの時代に求められる学校施設の在り方について、市教育委員会はどのように捉えているでしょうか。

→古い校舎は既に建築から60年を経過しており、屋上防水の経年劣化や外壁の剥離に起因する雨漏りなど、建物の老朽化が進んでいる。
これからの時代に求められる学校施設の在り方については、市の公共施設としての学校という側面から、地域における学校の役割や活用方法等についても検討し、持続可能で地域社会に開かれた学校を実現することが必要である。
今後の学校施設の整備に当たっては、多様な学習内容・学習形態やICTを日常的に活用できる学習環境の確保、特別支援教育や日本語教育など児童・生徒の多様化への対応、環境負荷の低減や自然との共生等に考慮する必要がある。

(2)学校再編に伴い学校施設の新築、増改築、改修等の実施が想定されますが、こうした施設整備に関する市教育委員会の方針はどうでしょうか。

→教育委員会は、「これからの羽村市立学校の在り方について」をもって学校再編に係る教育委員会の考えを示した段階であり、学校再編に伴う学校施設整備に関する具体的な方針は決まっていない。
学校再編に伴う学校施設の整備については、市民の皆様の意見を踏まえた上で、市の公共施設再配置構想の立案の際に検討を行い、羽村の子供たちの豊かな成長に資するものとなるよう進める。


*令和の時代に求められる学校施設については、文科省が公表する「新しい時代の学びを実現する学校施設の在り方について」にも記載されています。
既存の学校施設は時代に即したものとは言えません。
そこで、学校再編を検討するのであれば、同時に学校施設をどうしていくのかということを示す必要があると考えます。
再質問・再答弁のなかでは、3月5日から9日かけて行われる説明会で、学校施設の在り方も含め意見を聞くとのことでしたので、ぜひ皆様のご意見をお寄せいただければと思います。

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