令和6年6月定例会一般質問詳細

タイトルのとおり、6月の一般質問(令和6年6月11日)での発言と市の答弁の要約を掲載します。
市の答弁の全文、再質問、再答弁については掲載しませんのでご了承ください。
インターネット中継であれば、市の答弁や再質問・再答弁までご確認いただけます。
インターネット中継と以下に掲載する質問や市答弁要約は、正式な記録ではないことにご注意ください。
なお、正式な記録は「羽村会議録検索」で公開されますが、公開まで2カ月程度かかります。

今回は、妊娠・出産・子育て期の家庭に対する多面的な支援と学校の法務相談体制の整備について質問を行いました。
以下、黒字が私の発言で、青マーカーが市の答弁の要約です。赤字はポイント解説などです

事前の通告に従いまして、2項目質問いたします。
1項目めは「妊娠・出産・子育て期の家庭に対する多面的な支援について」です。
令和5年度第6回子ども・子育て会議では、「幼稚園・保育園等を利用する保護者アンケート結果報告」が示されました。
この資料には、①理想の子どもの数として、複数人を理想とする保護者は全体の93%もいること、②しかし、理想の子供の数が3人以上の場合、実際に3人以上の子どもを持つ保護者は半分もいないこと、③理想の数の子供が持てない理由として、「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」が圧倒的に多く挙げられていることなどが記載されており、経済的負担等を理由に希望出生数を実現できない家庭が一定数いることがわかります。
こども基本法では、こどもの養育については父母その他の保護者が第一義的責任を有するという認識の下、国や自治体はこどもの養育に関し十分な支援をしていく必要があると規定しています。
法令を踏まえ、市は国や東京都と連携を図りつつ、こども施策を策定・実施し、どのような家庭でも安心して妊娠・出産・子育てできるよう環境を整備する責務があります。
そこで、市の妊娠・出産・子育て期の家庭に対する多面的な支援について伺います。

(1)多面的な支援について
社会経済の在り方を理由として、各家庭における家族形成の希望を諦めることは、自由な意思に基づく選択とは言えません。
そこで、社会経済的な阻害要因を解消し、どのような家庭でも子育てに夢を持ち実現できるようにするため、市は妊娠・出産・子育てをする家庭に対してさまざまな側面から支援をする必要があると考えますが、市の見解を改めて伺います。

子育てをしている家庭への経済的支援や子育て環境の整備、保育・幼児教育等の充実に取り組むとともに、全ての妊産婦・子育て家庭が希望に沿った形で、安心して子供を産み育てることができるよう様々な支援を行っている。
経済的支援については、就学前の子育て家庭には「妊婦健康診査の費用の助成」や「産後ケア事業の利用料の減免」「乳幼児の医療費の助成」などを行っている。
就学後の子育て家庭には、「学校給食費の改定に伴う増額分の補助」や「経済的な理由により教育費の支払いが困難な方へ学用品や給食などの費用を援助する『就学援助制度』」、「生活保護を受給している世帯の小学4年生から高校3年生の児童・生徒が学習塾等に通う際にかかった費用を保護者に支給する『被保護者自立促進事業』」、「高校などへの入学資金の融資をあっせんする『入学資金融資制度』」、「義務教育就学児等の医療費の助成」など、様々な経済的支援を行っている。
児童手当については、所得制限の撤廃や支給対象年齢の引上げなど、本年10月からの制度改正が着実に実施できるよう準備を進めていく。
今後も、国や東京都の補助事業を活用しながら、経済的支援の強化を図るとともに、関係機関や関係団体の協力を得て、子供・子育て家庭を包括的に支援していく。


個人の努力ではどうしようもできない社会経済の在り方を理由として、子供を持つという選択が奪われないよう、「どのような家庭」でも安心して子供を一人前に育てられると思える環境づくりが重要だと考えます。
例えば、ひとり親となった際の経済的リスクが大きければ、子育てに対する不安を覚える場合もありますが、支援策を可視化・充実させることで、少しでも不安を取り除くことができます。
そのようなことを踏まえ、再質問につなげていきました。


(2)経済的支援について
①出産前は、マタニティ用品・ベビー用品の購入や医療機関の受診等により、短期間で多額の出費を要することに加え、労働時間の減少による収入の減少等で、家計状況が悪化しやすくなります。
国、自治体、社会保険制度等による経済的支援もありますが、まとまった資金を事前に用意することが困難な家庭もあります。
そのような中、子育て家庭の経済的負担の軽減策として、出産後すぐに必要となるベビー用品の貸出しを実施している自治体があります。
この支援策により、短期間に集中する出費の平準化、年長の子のベビー用品の再利用、購入が必要なベビー用品の選別等、さまざまな家庭における経済的負担の軽減が期待できます。
そこで、市でも他の自治体の事例を参考に導入を検討してはいかがでしょうか。

→主な経済的支援として、「出産・子育て応援事業」を実施し、合わせて15万円相当の電子カタログギフトを配付している。
このカタログギフトは、マタニティ用品や育児用品の購入のほか、ベビーベッド等のレンタルサービスなども自由に選択することが可能であり、子育て家庭の経済的負担の軽減に資する支援であると捉えている。
また、リサイクルセンター内にある「リサイクルショップ」では、市民の皆様から不用品として収集した物品のうち、修理をすれば使用できるものについては、羽村市シルバー人材センターの会員の方々が修理して再生したものを、安価にて販売している。
市としては、子育て家庭の経済的負担が少しでも軽減されるよう、取組を継続していく。


*合計15万円分のカタログギフトは、国・都と連携して実施している事業です。
出産前に5万円分、出産後に10万円分のポイントをもらい、カタログギフトで必要なものを購入できます。
チャイルドシート、ベビーカー、ベビーベッド、抱っこ紐など、出産前に用意しておきたいベビー用品は、高価格のものが多いです。
確かに答弁のとおり、カタログギフトからベビー用品のレンタルサービスを利用できますが、ベビー用品を利用する全期間をレンタルで済ますのであれば、購入したほうが基本的に安上がりです。
ということは、カタログギフトでベビー用品を購入したいと考える家庭もあると思いますが、合計15万円分もらえるのは出産後です(しかも出産直後ではなく、乳児家庭訪問のタイミングで渡されます)。

また、カタログギフトを使用する際に、足りない金額を自分で出して購入することができません。
合計15万円分のポイントがそろう頃には、すでにチャイルドシートやベビーベッドなどのベビー用品を使い始めているので結局カタログギフトを高価格のベビー用品にあてる機会は少なくなりますし、一方で出産前の短期間に経済的負担が集中してしまいます。
今回の経済的支援策の提案は、短期間で発生する大きな出費の平準化や、本当に必要なベビー用品の選別などを目的としており、「安くベビー用品を使わせてほしい」という趣旨ではありません。

市の答弁では否定的な回答となりましたが、引き続き市にはさまざまな経済的支援策を要望していきます。

②令和5年第2回定例会の一般質問で、3世代近居・同居の促進や子育て世帯の住宅取得に係る経済的負担の軽減については、提案の内容も含め具体的な取組みについて検討を進めるとの答弁がありました。
そこで、住宅政策に関連する新たなデータ等を示し再度質問します。

ア 3世代近居・同居の促進について
令和5年住民基本台帳人口移動報告や令和2年国勢調査によれば、子供の頃から住んでいる羽村市を離れる若者が一定数いることがわかります。
また、民間企業の調査によれば、住宅の購入を検討している人のうち20・30代の約65%は親との近居・同居の意向があり、他の世代に比べて高い割合となっています。
3世代近居・同居の促進は、親との近居・同居を希望する市外に転出した若者の再転入や、子育てに係る肉体的・心理的・経済的負担の軽減による希望出生数の実現に資するため、市は3世代近居・同居を促進させる補助事業等を実施してはいかがでしょうか。

イ 子育て世帯の住宅取得支援について
令和元年全国家計構造調査によれば、30歳未満及び30代の世帯では家計支出における住居費の占める割合が非常に高くなっています。
また、令和5年10月の住宅金融支援機構(以下「機構」とします。)の利用者調査によれば、収入の低い家庭は「フラット35」等の比較的高い金利である全期間固定型金利を選択する傾向にあり、さらにこの金利は近年上昇傾向にあります。
住宅ローンの選択肢の幅が狭く高い金利でしか借りられない家庭にとって、現在の金融情勢は子育てに適した住宅取得に支障をきたしている可能性があります。
一方、国は子育て政策の一つとして、令和6年2月から若年・子育て世帯が「フラット35」を利用して住宅を取得する際の金利引下げ制度を拡充しました。
そこで、国の支援策に上乗せして金利引下げ制度を拡充し、子育て世帯の羽村市への移住・定住に対する経済的負担の軽減が可能となるよう、子育て世帯の住宅取得への補助事業を創設することと、市と機構の連携が必須である「フラット35 地域連携型」による金利引下げ制度の活用に取り組んではいかがでしょうか。

→(ア・イをまとめて答弁)
市では、本年4月、西武信用金庫と包括連携協定を締結し、「子育て世帯等が暮らしやすいまちに関する魅力発信や支援に関する事項」等について、相互の連携の下、取組を進めることとした。
西武信用金庫では、羽村市を含む多摩西部9自治体に、それ以外の自治体から移住・定住する方を対象とした特別金利による優遇措置を実施している。
また、住宅金融支援機構では、「フラット35地域連携型」により、子育て支援や地域活性化について積極的な取組を行う地方公共団体と連携している。
「フラット35地域連携型」は、住宅支援機構と連携する地方公共団体が、住宅取得に対して補助金交付制度等を実施し、その補助金交付等の対象者のフラット35の借り入れ金利を一定期間引き下げるものである。
こうした金融機関等との連携や、ほかの自治体における子育て世代に対する住宅取得、3世代近居・同居支援などの住宅政策に係る支援制度の実施状況等について調査・研究を行っているところである。
羽村市が住みたいまちとして選ばれる自治体であるために、引き続き、特定財源の確保を含め、住宅政策に関する支援制度の内容について、研究を進める。


*昨年の議会でも取り上げた、子育て家庭の住宅取得に関する2つの経済的支援策について再度質問しました。
これらの支援策が実現した場合、市の負担なしに住宅ローン金利(フラット35)の引下げができるようになります。
市の財政が厳しいなか、いかに市の負担を抑えつつ市民が必要としている事業を実現できるかが重要だと考えますので、引き続き要望していきます。

(3)子どもの遊び場について
幼稚園・保育園等を利用する保護者アンケート、羽村市市政世論調査、羽村市転入者アンケート等によれば、羽村市民は市内の公園に対して一定の評価をしていることがわかります。
しかし、現在市内の一部の公園では、設置されている遊具が経年劣化等により使用禁止となり、順次撤去されています。そこで、
①遊具の撤去について、近隣の町内会・自治会や保育・教育施設等への周知は、どのように行われたでしょうか。

遊具を修繕、または撤去する際の周知については、「公園名」「遊具名称」「点検結果に基づく判定内容」を始め、対象遊具を「修繕する」、または「撤去する」などの対応状況を記載した通知を、町内会・自治会及び幼稚園・保育園等に対し送付している。
公園の利用者には、対象遊具に使用を中止する旨と修繕や撤去を行う時期を記載した 貼り紙を貼り出し、周知を図っている。


②遊具の撤去後、新たな遊具の設置を検討しているでしょうか。

新たな遊具を設置する場合には、近隣の幼稚園・保育園及び公園利用者などを対象としたアンケート調査を実施している。
設置には多額の費用が必要なこともあり、新たな遊具の設置が難しい場合もある。
引き続き特定財源の確保を含め、限られた財源の中で、老朽化して撤去した後の新たな遊具の設置について検討を進めていく。


*こんぴら山児童公園などを念頭に再質問しました。

次に2項目め「学校の法務相談体制の整備について」質問します。
学校では事故、いじめ、不当な要求等、さまざまなトラブルが日々発生しています。
これらへの対応には法的責任を伴う判断が求められるため、学校は法令を熟知した上で子供の最善の利益となる対応を行う必要があります。
そのような現状を踏まえ、国は学校の運営におけるさまざまなトラブルの深刻化の防止や早期解決等を図るため、いわゆるスクールロイヤーの活用を自治体に促しています。
なお、スクールロイヤーの活用について、弁護士法等による制限がある中でどこまで子供に寄り添えるのかという懸念や、法的判断と教育的判断の不一致等の課題も指摘されており、少しずつ普及しているものの、自治体によって活用の判断は異なります。
いずれにせよ、さまざまな法的責任を伴う対応を現場で求められる学校にとっては、法令の範囲内で学校の実態を踏まえた助言を受けることができる体制の整備が重要であると考えます。
そこで、学校の法務相談体制の整備等について伺います。

(1)市教育委員会と学校間の法務相談の体制について
市教育委員会が法務に関する判断を行う際は、必要に応じて市の顧問弁護士に相談していると聞いています。そこで、

①学校が法務相談を受けられる体制の構築や周知は行われているでしょうか。

→(下記④とまとめて答弁)
学校が法務相談を行う場合には、教育委員会がその内容を把握した上で、市の顧問弁護士につなぐことになっている。
この体制については、定例の校長会や副校長会で周知し、問題が発生した場合には、ためらわずに教育委員会に報告・相談するよう伝えている。
また、東京都教育相談センター内に設置されている学校問題解決サポートセンターの活用についても、校長会、副校長会、生活指導主任会等を通じて 各学校に周知している。

②教職員を対象とした法務に関する研修等は行われているでしょうか。

市教育委員会が実施する「中堅教諭等資質向上研修」において、「教育相談等に関する研修」及び「教育法規」を、 必修の研修科目に設定している。
研修では、学識経験者等の専門的な知見を有する講師を招聘しての講義や、具体的な事例を取り上げた法務を含む演習などを行い、いじめの問題等、学校問題に関する関係機関との連携や、組織的な対応に加え、法令上の取扱い等について理解を深める とともに、実践力を育成している。


③令和5年度に、学校からの求めに応じて弁護士への相談を行ったことはあるでしょうか。

ない。

④東京都が設置する学校問題解決サポートセンターは活用されているでしょうか。

上記①のとおり

(2)スクールロイヤーの活用について
①スクールロイヤーの制度について、他市の事例の情報収集等を行っているでしょうか。

スクールロイヤーの制度について、近隣自治体の情報はもとより、全国の活用状況についても、文部科学省の調査結果を基に 把握をしている。

*スクールロイヤーとは、学校で発生するいじめや不登校、事故など様々な問題について助言を行う弁護士のことです。
学校での諸問題に特化して対応できるよう、教育委員会が委託を行います。


②文部科学省は、令和5年7月に全国の自治体に対して「教育行政に係る法務相談体制の整備等に関する調査」を実施しました。
市教育委員会はこの調査で、スクールロイヤーの活用を検討しておらず、その理由として市の顧問弁護士で十分対応できていることを挙げていますが、これらの回答は各学校の意見を反映しているでしょうか。
そうであればそのプロセスを伺います。

この調査の回答に際して、学校への意見聴取等は 行っていない。

*スクールロイヤーを導入すればすべてが解決するとは思いません。
しかし、さまざまな面で教職員の負担を軽減できることは、すでに導入している自治体の調査などからわかります。
引き続き、他自治体の調査や、市内学校の意見を踏まえ、適切な判断をしていただきたいと思います。

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